「第2話 本当の声に気づけなかった私」-小さなサインを見逃さないために

学校に行けなくなった娘を前に、

当時の私は、とにかく原因を探すことに必死でした。

お腹の不調をなんとかしようと、いくつもの病院を回りました。

整腸剤を試し、食事に気をつかい、それでも原因ははっきりしないまま――

先の見えないトンネルを、手探りで歩いているような日々でした。

「これさえ治れば、きっとまた学校に行けるはず」

そんなふうに思い込んでいた私。

けれど、本当は違ったのかもしれない。

娘は、疲れきっていました。

そんな娘の姿よりも、「学校に行かせなきゃ」と焦る自分の気持ちばかりが膨らんでいったのです。

そして、私自身も限界に近づいていました。

毎日の不安と焦りで、笑えなくなり、食事ものどを通らなくなっていました。

それでも、心のどこかで、まだ思っていました。

「どうにか、もとに戻らないかな」

「元気だったころの娘に戻ってほしい」

そんな私の姿を、娘はきっと苦しい思いで見ていたのだと思います。

今、振り返って思うのです。

あのときの娘の不調は、

私自身がずっと我慢して、無理をして、心をすり減らしながら生きてきた結果だったのかもしれないと――

(第3話につづく)

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